ウォーリー木下、キャストより:初日公演を終えて&東京公演への意気込み
- theatreatdawn

- 12月17日
- 読了時間: 7分
舞台『1995117546』
兵庫公演初日を終えたウォーリー木下さんとキャストの皆さんからのコメントをご紹介します。
東京公演に向けた意気込みとあわせてご覧ください!
ウォーリー木下
兵庫で初日を迎えることができ、お客様にお楽しみいただけたようで、本当にホッとしていますし、こんなに嬉しいことはありません。僕自身、こちらが地元ということもあり、地元のみなさまにこの作品をご覧いただきたいという強い思いがありました。何より、よくご存じの場所や固有名詞が登場するようなローカルな物語を描けたことは、とても良かったと思っています。
どれほど受け入れていただけたかは分かりませんが、お客様が食い入るように舞台をご覧になっている空気感を感じましたので、きっとお伝えできたのではないかと思っています。
ご観劇いただいた方から、現実と非現実が入り混じった物語で、人によっては「時間」「空間」という概念の話に見えるかもしないし、地震の記憶や大切な人への思いを描いた話にもなる、といった感想をいただきました。観る方の人生によって、さまざまな見方ができる作品です。隠し絵のような要素がたくさんありますので、ぜひご自身だけの感想を持ち帰っていただけたら嬉しいです。
東京公演も、いろいろな体験をされてきた方々がご来場されると思いますので、ご覧になった方それぞれの感想が聞けるような豊かな舞台にすべく挑みます。
須賀健太
ギリギリまで調整が続いていた中で初日が無事に終わり、一本筋が通った作品をお客様にお届けできたことは、何より嬉しいことでした。台本をいただいたときの印象から大きく変わり、枝や血肉が付いたことにより、全く違う印象になった部分もありましたが、変わらない良さもしっかり残っていて、その両立がとても良い初日につながったのではないかなと思います。
東京公演は14回。作品の内容的にも、心身ともに明るく軽やかに続けるものではないので、一公演ずつしっかりと向き合い、いい意味ですり減らしながら挑みたいと思います。遠いところで起こった事の様な感覚があるかもしれませんが、東京の皆様にも、地震という絶対に切り離せないテーマを感じていただきつつ、それだけではない演劇の面白さも味わっていただくことができたら、本当に嬉しいです。
中川大輔
兵庫で初日を迎え、実際にお客様にご来場いただき、そこには実際に震災を経験された方がいらっしゃるのかもしれないと思うと身が引き締まる思いでした。
また、お客様からの反応で、稽古場では真面目に演じていたシーンで思いがけず笑いをいただいたり、逆に自分が面白いと思っていたシーンで真剣に受け止めていただいたり、と予想外の反応がありました。それがとても興味深く、芝居はお客様と一緒に創られて行くのだな、と改めて感じました。
この舞台は最後に希望を持って終わる作品です。もちろん、震災を実際に体験されたウォーリーさんが書かれたリアルな部分には重さがありますが、色々なエピソードが積み重なった作品となっていますので、その中には明るいシーンや楽しい場面もあります。特に猫のポアロともぐらのシーンでは、演者たちが一丸となって心から楽しんで演じている様子をお伝えできると思います。
観終わった後に「幸せな気持ちになった」と感じながら劇場を後にする、そんな演劇体験をお届けしたいですし、エンターテインメントとしてもお楽しみいただきたいです。
斎藤瑠希
初日は本当に緊張しました。手が震えて柿ピーが揺れて三つに見えるくらいでした(笑)。でも、この緊張感を忘れてはいけない、「慣れたら終わる作品だな」と思ったのです。その緊張が自分の中でいいスパイスになって、とても新鮮に動くことができました。
お客様にどうお伝えできているのかは、すごく気になるところです。震災をテーマにした作品や、ここまでディープな作品に触れる機会はなかなか少ないと思うので、その意味の深さを感じていただきたいですし、重い話だけではなく、人間の力強さや温かさという「作品の温度感」をしっかりお伝えできるようなお芝居をしたいと思っています。
東京では限られた公演数のなかで特別に意識するというより、変わらないものをお届けしたいと思っています。
私は1995年にはまだ生まれておらず、当時を知らない世代ですが、そういう方もたくさん観に来てくださると思います。そんな方々にも、過去のことだけど過去じゃない、災害はいつ起こるかわからないが、それは事実であり歴史であり、だからこそそれを演劇という形でお伝えできるのは素晴らしいことだと思います。
とはいえ、構えることなく、たくさんの方に東京公演もご覧いただけたら嬉しいです。
前田隆成
兵庫で初日を迎えられたこと、本当に良かったと心底思っています。今もなお、不思議な気持ちでいっぱいです。たくさんの素晴らしい方々に囲まれて、舞台というものが本当に多くの人の力で成り立っているのだと、改めて実感しました。
僕は、みんなが舞台に向かって進んでいく後ろ姿を見るのがとても好きです。「この人たちと今から一緒にできるんだ」という喜びを、毎回新鮮に感じるのです。こんな素敵な座組に関われていることは、何より幸せです。
そして、この作品を創ってくださったウォーリーさんに心から感謝しています。そこに僕を呼んでくださったことも、本当にありがたいことです。この舞台を通して、改めて「しっかり生き抜かなければならない」という思いを強くしました。最後までこの作品をやり遂げられるよう、全力を尽くしたいと思います。東京でも変わらず頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
田中尚輝
開演前に袖で円陣を組んだ瞬間、改めて「本当に絆の強いカンパニーだな」と感じました。心臓がぎゅっとなるくらい緊張していましたが、この仲間となら乗り越えることができる、そう思わせてくれる力強さがありました。
幕が開けば、怒涛のようにシーンが進んでいきます。まるでウォーリーさんの頭の中にある“あの日”を、僕たちがこの束の間の時間で駆け抜けているような感覚。ウォーリーさんの描いた物語に入り込んでいく、不思議で濃密な時間でした。
そして何より嬉しかったのは、カーテンコールで皆様からいただいた拍手の音圧です。まっすぐに届くその力に、皆様にこの作品が届いたことを強く感じ、涙が出そうになるほど嬉しかったです。
阪神・淡路大震災を題材にしたこの作品を、まず兵庫で上演することに、大きな責任と覚悟を感じました。そして東京公演では、震災を経験していない方や、ニュースや新聞で知っているだけという方もご観劇くださるかもしれません。だからこそ、演劇を通して兵庫と東京の距離をつなぎ、当時の記憶を少しでも身近に感じていただけたらと思っています。東京公演でも、ぜひたくさんの方にこの想いをお届けできたら嬉しいです。
小林 唯
僕にとっては初めてのストレートプレイでした。歌わない自分をどう受け入れていただけるのか、正直不安もありました。これまで僕を観てくださったお客様はミュージカルだけをご覧になっていた方が多いと思います。そんな中、今回はストレートプレイの中でもかなりマニアックでコアで、小劇場的な演出の舞台なので、その温度差で「風邪をひかないかな」という心配もありました。
そんな不安と共に、何とかこの作品をお伝えしたい、という思いを抱えながら、緊張感の中で初日を迎えました。でも終演後、熱い拍手をくださるお客様の顔を見た途端、安心感からか自然と涙がこみ上げてきました。カーテンコールで涙を流した経験は今までにはなく、初めての事でした。本当に「みんなでつくってきた」という感覚があったからだと思います。もちろん中心にいらっしゃるのはウォーリーさんですが、自分も創作に立ち会えた、みんなでつくったという強い実感がありました。そんな何かが伝わっていればいいなと思います。
まだ始まったばかりで、直前まで変更が続き、ギリギリで仕上がったという状態です。ここから回を重ねるごとに、どんどんブラッシュアップされていくと思います。東京公演では千穐楽までにもっと形をはっきり、くっきりさせていきたいと思っています。そして、今までお見せしたことのない小林をお見せしますので、どうか楽しみにお待ちください。
舞台『1995117546』
東京公演 2025年12月18日(木)〜27日(土)
東京芸術劇場シアターウエスト

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